?航海日誌?(この航海日誌とは「宝島」のジム=ホーキンスに憧れた旅流が自身の旅を航海になぞらえて付ける不定期的に出現する旅日記のことです)
新潟県新発田市の旧加治川村の大天城公園にて毎年この時期に開催される手作りの音楽会「ホタル音楽まつり」。第20回目となった今年の6月22日、加治川地区は東京を出発するときに確認した天気予報通り昼過ぎから雷を伴う激しい雨に見舞われていた。
このコンサートは昼の部と夜の部に別れている。そして、そのインターバルにはホタルの勉強会も催されている(今年は雨で中止)。里山を駆け抜けてくる緑の呼気のような風に包まれながら音楽とビールを楽しんでいると、あっという間に夕焼けがやって来る。黄昏滲みゆく田園風景は人の心を欲しいままに奪っておいて、今度は惜しげも無くそれを闇へと手放してゆく。この頃にはコンサートも大詰めを迎えホタルたちに夜を返すというのが例年の流れだった。
ホタルの乱舞が期待できるのは風と月のない闇夜だという。しかし、条件が整ったからといって必ずそうなる訳でもないというから、蛍とはイメージ通りの繊細な命なのだと思う。とて、分かりきっている事もある。それは、強く打ち付ける雨では決して蛍は見れないということ。
昼の部恒例の吉川&布袋のCOMPLEXを雨に濡れながら演奏するオヤジバンドさんのステージにいよいよテントが運び込まれた。見たこともない光景に梅雨の最中に開かれるこのイベントはなんだかんだで雨知らずだったことに気付かされる。加治川と雨。記憶をさかのぼって行くうちに熱く蘇えるものがあった。
あの日もこんな冷たい雨が降っていた。加治川地区がまだ加治川村だった頃、20年近く前の秋の村祭りで初めて唄わせてもらった時のこと。降り続く雨で屋外に人気はなく、それでも旅先で唄えることが嬉しくて、ただ嬉しくて。音は屋内にも流れているという配慮もあったしそれで十分だった。何曲か唄っている時に目の前の軽トラを挟んで作業着を着た男たちが笑みを浮かべて雨に濡れながら唄を聞きに来てくれた。唄い終えると男たちの中の一人が6月のコンサートにも来てくれと言ってくれたのだった。
あれから20年。自分の出番になりステージの白いテントの下で唄い始めるとあの日の気持ちや指先の感触までもが蘇って来た。インディーズ時代の代表曲、この曲で紅白へ出るんだという思いで歌っていた曲を歌おうと思った。
東京に戻った今、とても清々しい。こんな気分は「ホタル音楽まつり」に出演し始めて初めてのことだ。この日誌を書き終えたら土産に頂いた酒を呑ろう。
早く呑みたいので今日はここまで。加治川の蛍たちよ永久にー。
<書き足し>
夕焼けの写真はこの日のもの。夜の部が始まる前に雨は上がってくれたのだった。夜は北斗七星のほか蠍座までもはっきりと分かるほど晴れ渡った。夜遅くに綺麗な月が浮かんでいた。たった一匹だけ用水路近くの低木で発光するホタルを見かけた。今日の荒天を知っていたのか、前夜は蛍たちが乱舞したと誰かが言っていた。
?旅流 出演情報?
6月29日(土)
勝運大道芸
開催時間: 15:00?19:00頃
場所:亀戸香取勝運商店街(亀戸駅北口より徒歩7分)
出演者:アストロノーツMark2(スタチュー)/コースケ☆原澄人 with go luck girls (和風ヴォードビルショー) /2代目東京コミックショウ(三蛇調教) /狼執事(アンドロイドスタチュー)/淺草十一寸(手廻しオルガン)/旅流草一郎(弾き語り)/仕事人・壮之助(スタチュー)/フーセンおじさん(バルーンショー 街かどアーティスト)/鷹島姫乃(和風ポールダンス)/太平洋(和風曲芸/綱渡り)
7月7日(日)
古屋かおり復活ツーマン「感謝の十番勝負」
第四番: VS 旅流 草一郎
場所:福生BASE VOX
時間:OPEN 18時/START 19時
投げ銭+オーダー