『蒲田発路上シンガー』  〜旅流 草一郎ブログ〜

蒲田駅前で歌い続ける路上シンガーの徒然日記

June 2019


 ?航海日誌?(この航海日誌とは「宝島」のジム=ホーキンスに憧れた旅流が自身の旅を航海になぞらえて付ける不定期的に出現する旅日記のことです)

 新潟県新発田市の旧加治川村の大天城公園にて毎年この時期に開催される手作りの音楽会「ホタル音楽まつり」。第20回目となった今年の6月22日、加治川地区は東京を出発するときに確認した天気予報通り昼過ぎから雷を伴う激しい雨に見舞われていた。


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 このコンサートは昼の部と夜の部に別れている。そして、そのインターバルにはホタルの勉強会も催されている(今年は雨で中止)。里山を駆け抜けてくる緑の呼気のような風に包まれながら音楽とビールを楽しんでいると、あっという間に夕焼けがやって来る。黄昏滲みゆく田園風景は人の心を欲しいままに奪っておいて、今度は惜しげも無くそれを闇へと手放してゆく。この頃にはコンサートも大詰めを迎えホタルたちに夜を返すというのが例年の流れだった。

 ホタルの乱舞が期待できるのは風と月のない闇夜だという。しかし、条件が整ったからといって必ずそうなる訳でもないというから、蛍とはイメージ通りの繊細な命なのだと思う。とて、分かりきっている事もある。それは、強く打ち付ける雨では決して蛍は見れないということ。

 昼の部恒例の吉川&布袋のCOMPLEXを雨に濡れながら演奏するオヤジバンドさんのステージにいよいよテントが運び込まれた。見たこともない光景に梅雨の最中に開かれるこのイベントはなんだかんだで雨知らずだったことに気付かされる。加治川と雨。記憶をさかのぼって行くうちに熱く蘇えるものがあった。


 あの日もこんな冷たい雨が降っていた。加治川地区がまだ加治川村だった頃、20年近く前の秋の村祭りで初めて唄わせてもらった時のこと。降り続く雨で屋外に人気はなく、それでも旅先で唄えることが嬉しくて、ただ嬉しくて。音は屋内にも流れているという配慮もあったしそれで十分だった。何曲か唄っている時に目の前の軽トラを挟んで作業着を着た男たちが笑みを浮かべて雨に濡れながら唄を聞きに来てくれた。唄い終えると男たちの中の一人が6月のコンサートにも来てくれと言ってくれたのだった。
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 あれから20年。自分の出番になりステージの白いテントの下で唄い始めるとあの日の気持ちや指先の感触までもが蘇って来た。インディーズ時代の代表曲、この曲で紅白へ出るんだという思いで歌っていた曲を歌おうと思った。

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 東京に戻った今、とても清々しい。こんな気分は「ホタル音楽まつり」に出演し始めて初めてのことだ。この日誌を書き終えたら土産に頂いた酒を呑ろう。

 早く呑みたいので今日はここまで。加治川の蛍たちよ永久にー。


<書き足し>
夕焼けの写真はこの日のもの。夜の部が始まる前に雨は上がってくれたのだった。夜は北斗七星のほか蠍座までもはっきりと分かるほど晴れ渡った。夜遅くに綺麗な月が浮かんでいた。たった一匹だけ用水路近くの低木で発光するホタルを見かけた。今日の荒天を知っていたのか、前夜は蛍たちが乱舞したと誰かが言っていた。



?旅流 出演情報?

6月29日(土)
勝運大道芸
開催時間: 15:00?19:00頃
場所:亀戸香取勝運商店街(亀戸駅北口より徒歩7分)
出演者:アストロノーツMark2(スタチュー)/コースケ☆原澄人 with go luck girls (和風ヴォードビルショー) /2代目東京コミックショウ(三蛇調教) /狼執事(アンドロイドスタチュー)/淺草十一寸(手廻しオルガン)/旅流草一郎(弾き語り)/仕事人・壮之助(スタチュー)/フーセンおじさん(バルーンショー 街かどアーティスト)/鷹島姫乃(和風ポールダンス)/太平洋(和風曲芸/綱渡り)



7月7日(日)
古屋かおり復活ツーマン「感謝の十番勝負」
第四番:  VS 旅流 草一郎
場所:福生BASE VOX
時間:OPEN 18時/START 19時
投げ銭+オーダー







 梅雨の晴れ間の2日連続の日の出。午前5時15分。太陽はもう高い。

 6月14日。今日で旅流草一郎がユニバーサルよりデビューして3周年を迎えた。応援してくださっている皆様に心より感謝を申し上げます。うだつのあがらない、いつまでたってもの路上唄いですが、今後とも力一杯唄ってまいりますので、変わらぬご声援を宜しくお願い申し上げます。

 さて、新宿サンモールへWAHAHA本舗のベストオブ全体公演「ショー・マスト・ゴーオン」へ行ってきた。昨日は時代を席巻してきたワハハの作品群の中から特に「久本雅美が観たい見せたい演目たち」と題された選りすぐりのプログラムの上演回だった。昼の部開演。所狭しと言わんばかりに会場全体を巻き込む滑り出し。何が起こるかわからない。法律的に許されるのか?などといらぬ心配が随所で頭を掠めるも最終的にはそれすら笑いがかっさらってゆく。これがWAHAHAか。あーくだらない(笑)。当時は誰の真似だか観客の誰もがわからなかったというフレディマーキュリーのパロディ、腹が捩れるほど笑った。ワハハ伝統芸の一つと謳われる「裸影絵」。話には聞いていたがこれは死ぬまでに一度は観なければならないと言えるほどの終作いや秀作でした。個人的にドツボだったのは純文学シリーズ。茶化し方が甚だしい。文学をいじっているのは目くらましで他の何かを茶化しているのは歴然。これをリアルタイムで観ていたら熱狂的なファンになっていただろう。笑いすぎて腹が減ったので劇場を出てすぐ目に付いた小諸そばに駆け込んだ。

 蕎麦屋でミニかき揚げ丼セットを空きっ腹に収めながら、さっき挨拶で訪れた終演後の楽屋の僅かな時間を思い返してみた。省吾さんが退団されてコンビとなったポカスカジャンさんに会うのは初めてだった。片付けと夜公演の準備と見舞客とでごった返す楽屋通路を腰を屈めて通り抜けて部屋に入ると、一息つかれている座長の大久保ノブオさんとタマ伸也さんがいた。大久保さんは訪問を喜んでくれたし、タマさんはわざわざ立ち上がって出迎えてくれた。

 3年前に旅流草一郎がメジャーデビューした時、オールドルーキー、遅咲きの苦労人と(まだ咲いてないけどね)、そんな風に綺麗に言ってくれる人もいた。でも、そうじゃなくてあんたは50歳を目前にしてまだ路上で唄っているただのバカだよと、社会に必要のない無用ノ介なんだよと笑ってつっこみながらも拾ってくれたのがWAHAHA本舗だった(所属はしていません)。以来、ポカスカさんとは懇意にさせて頂いている(筆者体感)。旅流の初舞台となった『忠SING蔵(大江戸ワハハ本舗本公演)』では省吾さんの清水一角と旅流の堀部安兵衛とで殺陣をやった。ど素人の間合いと太刀筋に省吾さんはだいぶ後になってから傷だらけになった足元を見せてくれた。タマさんとは蒲田の呑み屋でケンカをした(ことがあるらしい)。大久保さんにも共演した芝居でたくさん迷惑をかけてしまった。ひとつひとつを思い返せば心がえぐられるように涙が溢れてくる。ポカスカジャンさんに対してそんな思いがあることをどうしてすぐに忘れてしまうのだろう。
 楽屋での僅かな時間の中で、タマさんはきちんと省吾さんの退団を告げてくれた。今思えばあれはポカスカジャンさんを代表しての挨拶だったように思う。俺に対してまで儀礼を以って接してくれていたのだ。実はWAHAHA本舗からもオフィシャルな発表の前日にこのことをメールにて頂戴している。にもかかわらず、俺はなんの言葉も用意せずにひょうひょうと楽屋へ入って行ったのだった。タマさんの言葉に特にリアクションもなく、しかもなんの言葉もないと敢えて言う俺にお二人は淋しそうな笑みを浮かべていた。

 蕎麦湯をもらわずに俺は残っためんつゆを飲み干した。しょっぺぇな?。


<航海日誌>
 WAHAHA本舗の全体公演楽しかったよ?、まだやってるよ?(全日程sold out)、というブログにしたっかたのにこんなんなっちまっておもさげね。この後、歌舞伎座まで足を伸ばし夜の部の一幕だけ観ました。三谷歌舞伎やはり面白いんですが、幕見の4階席はやはり視野や音声のストレスも多く、どうにかしてもう一度下階で観たいと思った新歌舞伎座初体験でした(こちらも1階席以外sold out)。


?旅流 出演情報?
 WAHAHA本舗や三谷歌舞伎という一流のエンターテイメントを体感した1週間を経て、旅流草一郎のメジャーデビュー3周年はこちらから始まります!まずは16日のお芝居からお付き合いください。

6月8日?22日(旅流の出演は16日
江頭美智留presents THE WEEKEND THEATER
『正しいホシの見つけ方』
脚本:江頭美智留 演出:おっきなわたる
出演者:シングルキャスト
上田季穂・松村美里・横澤英一・樋口光・中村裕久
   :ダブルキャスト
岩本和稀・八木美彩・笑里・内田大裕・おっきなわたる・旅流 草一郎
会場:ARISE舞の館(新宿区歌舞伎町2-28-13 第一和幸ビルB1)
全公演13:00と15:30の1日2回公演(会場は開演の30分前)
一般(大学生以上)/2,500円+1D
学割(高校生以下)/1,500円+1D
旅流の出演は8日(土)と16日(日)です
チケットのご予約はこちらから


6月22日(土)
第20回ほたる音楽まつり
新潟県新発田市加治川地区大天城公園
観覧無料/ホタルの住みやすい環境づくり支援にご協力ください。
昼の部
夜の部
詳細未定


6月29日(土)
かめいど勝運大道芸
場所:東京都江東区亀戸香取神社勝運商店街
15:00~19:00(投げ銭)









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